陽の章 五禽戯


14 陰陽五行と五臓     

 
 
 漢方の薬局をのぞいてみてください。必ず、陰陽五行の図が店の壁に貼られているはずです。その図をよく見ると、大きな円が五等分され、五つの小さな円が並んでいます。そこに木、火、土、金、水の文字が描かれています。

 さらによく見ると、「木」と記された円の横には「肝臓、胆のう」と小さな文字で記されています。そして「火」の円の横には「心・小腸」とあります。「土」には、脾・胃とありますが、「脾」とは脾臓・膵臓をいいます。「

 金」には肺・大腸が。「水」には腎臓・膀胱がそれぞれ記されています。

 これは、「五臓」と「五腑」が陰陽の関係でつながっていることを表しています。「五臓」とは肝臓、心臓、脾臓、肺臓、腎臓で、臓は蓄え、陰に属すると中医学は教えます。臓のつく器官は、内部が詰まっています。心臓は筋肉の塊です。

 それに対して「五腑」は、胆嚢、小腸、胃、大腸、膀胱で、腑は通し、流れるので陽に属すると考えます。腑のつく器官は、内部が空洞で、その中を食物や液体が流れていくと考えるのです。「人体は小宇宙(ミクロコスモス)である」といわれます。「大宇宙(マクロコスモス)」、つまり、私たちの周りの空間と私たちの身体は密接につながっているのです。

 「胆相照らす」というと、「ツーカーの間柄」という意味に使われますが、それぞれの臓と腑が関係し合っていることを表しています。つまり、「肝臓」と「胆のう」は密接な関係があるということなのです。

 同様に、「心臓」と「小腸」がつながり、 「脾臓」と「胃」が、「 肺」と「大腸」が、「腎臓」と「膀胱」が関係していることを表しています。

 五行の理論は、一度聞いただけで、その意味はすぐ理解できるものですが、まず初めは、とうてい信じられないでしょう。単なる古い時代の迷信であるとしか思えません。

 しかし、あなたも、この理論をひと通り頭に入れ、「五禽戯」の実践を行っていくうちに、少しずつこの理論の深遠さが感じられてくるでしょう。この理論を真に理解するためには「気功の実践」が不可欠なのです。

 
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